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Weekly 10.20 萩原健太の「ここんとこ御無沙汰音楽好きオヤジのための今どきポップミュージック入門」

萩原健太の「ここんとこ御無沙汰音楽好きオヤジのための今どきポップミュージック入門」
音楽大好きオヤジだが、ここんとこ、そう10年くらい、CD、あんまり買ってねえなオヤジに捧げる、我らが萩原健太さんの今どきポップミュージック入門。とはいっても、時代におもねてはおりませぬ。オヤジらしく、オヤジらしい、オヤジこその、オヤジの創造せし、最高の音楽を聴こうではないかという提案なのであります。
ニール・ヤング『ル・ノイズ』

「近ごろの音楽にはついて行けなくて…」とか。情けないことを口にするオヤジ音楽ファンにときどき出くわす。「ずっと音楽が好きで聞いてきたけど、最近は何を聞いたらいいのかわからなくて」という弱音もよく耳にする。で、「誰か最近のいいアーティスト、いませんか?」と。

確かに。今やポップ・ミュージックの世界も複雑多岐。ジャンル的にもどんどん細分化が進んで、70〜80年代あたりまでは俯瞰できたシーンの全体像をつかむことことがむずかしくなってしまった。そんな時代にあっても、かつてのように新しい音楽に常に接していたいという熱意は素晴らしいと思う。尊いと思う。でも、そういう姿勢が聞き手として音楽を楽しむうえで必要不可欠なものかと言えば、実はそんなことはないのだ。

音楽ジャーナリズムの世界には“常に新しくあらねばいけない”という価値観が強迫観念的にあって。最近ならばループを駆使したヒップホップふうのグルーヴとか、煤けたような音像をともなったサイケなバンド・サウンドとか、そういうものを取り入れているとそれだけで“今の時代に呼吸している”と好評価を安易に与えてしまう風潮がある。もちろんそれも一理ある。ポップ・ミュージックの魅力は、基本的に作り捨て/聞き捨てなのだから。テクノだヒップホップだパンクだエレクトロニカだブルックリン・インディーズだ、と時代の変化とともにスピーディに移り変わるのがポップ・ミュージックの大きな魅力のひとつ。このスピード感こそがポップ・カルチャーの命でもある。が、本当にそれだけなのか。作り捨て/聞き捨てを基本にスピーディに時代を駆け抜ける数多のロック/ポップスの中に、ときおり鋭く永遠の真実を射貫くメロディなり歌詞なりサウンドなりがまぎれこんでいて。そんな一瞬のきらめきが、やがて時を超え“永遠”へと昇華する。こうした在り方もまたポップ・ミュージックの魅力の一面じゃないか? そして、どんなに昔のサウンドだろうと、ベテランの歌声だろうと、もしそれが現代にきっちり有機的に機能して響いているのならば、それは現役の音楽ではないのか?

とか、熱く息巻いてますが。要するに、別に新しいアーティストをあえて探さなくたっていいじゃねーか、と。そういうことだ。新人だけがポップ・ミュージック・シーンを作っているわけじゃない。オヤジ世代が若き日からずっと付き合ってきたようなベテラン・アーティストたちだって今なおごきげんな活動を続けてくれているのだから。聞くべき素晴らしい新作アルバムはたくさんある。

たとえば、ニール・ヤングだ。ニール・ヤングが9月にアメリカでリリースしたばかりの新作『ル・ノイズ』はすごいぞ。プロデューサーに名匠ダニエル・ラノワを迎えての全編弾き語りアルバムなのだが。アコースティック・ギターを弾いている曲は全8曲中2曲のみ。あとはエレクトリック・ギターでグワ〜ン!とぶちかます轟音弾き語り盤だ。若き日の過ちについて、戦争について、社会について、環境について…。歌詞のテーマは様々だけれど。とにかく、なんだかヤングさんは今なおものすごい勢いで怒っているのだ。むかついているのだ。家族の愛に感謝を捧げるような曲も入ってはいるけれど、基本的には今の社会に渦巻く多くの理不尽に対して憤っている。男だ。かっこいい。

ニール・ヤングはブッシュ政権末期の2006年に『リヴィング・ウィズ・ウォー』というアルバムをリリースしたこともあって。あのときはバンドを従え、ごりごりの轟音ロックにそこはかとない哀愁をこめた独特の音作りのもと、ブッシュ大統領に対する怒りを炸裂させていた。本当は若者がこうした怒りを表明してほしいのに、誰もやらないので俺が立ち上がった…と彼は語っていたけれど。さすがベトナム戦争を体験している世代ならではの、地に足がついた反戦ロック・アルバムだった。かつてニクソン政権、ベトナム戦争を痛烈に批判していた彼が、40年という歳月を経て再び立ち上がり、ブッシュ政権や、現在のアメリカのイラク/アフガニスタン政策に怒りをぶちまけている、と。

そんなニール・ヤングの音楽を誰が評価すべきか? オヤジ世代でしょう。若い音楽ファンが聞いても、勘のいい人ならばそれなりに衝撃を受けるとは思うけれど。ニール・ヤングとともにいくつものディケイドを歩んできた世代こそ、彼の現在の歌声をもっとも深く味わえるリスナーであるはずだ。

エリック・クラプトン『クラプトン』

エリック・クラプトンが、主に戦前ブルースやポピュラー・スタンダード曲をベテランならではの技量に裏付けられたレイドバックしたたたずまいでカヴァーしたニュー・アルバム『クラプトン』もいい。「枯葉」とかカヴァーしているもんだから、なんだよ、クラプトンもすっかり枯れちゃったな…と文句言っている自称硬派ロック・ファンとかもいるようだが。先入観を捨て、冷静な耳でクラプトンの「枯葉」に改めて接し直してみるべきだ。素晴らしいから。ミュージシャンとて年は取る。いつまでも若者気分のまま尖ってばかりもいられない。ぼくたち聞き手は、そのミュージシャンがちゃんと成長し、年齢相応の表現をできているのか、年輪を重ねた者にしかなしえないパフォーマンスを展開してくれているのか、その部分こそを的確に楽しみたいものだと思う。みっともないのはむしろ無理矢理な若作りのほうだ。

若さというのは、傲慢で、尊大で。若いミュージシャンは、自分が作るものこそ最高、全てを凌駕している、歴史を変えるぞ、という身勝手なパワーで突っ走り、そしてその勢いがぼくたち聞き手の心を震わせてくれる。もちろん、かつてエリック・クラプトンもそういう若きミュージシャンのひとりだったわけだが。年を取り経験を積むうちに考え方も変わる。感じ方も変わる。「枯葉」を淡々と歌い、ストリングスをバックに渋いギター・ソロを聞かせるクラプトンは、枯れるわけでもなく、かといって若ぶるわけでもなく、本当の熟成とは、本当の年輪とは何なのかを思い知らせてくれる。昨日今日デビューした新人アーティストにはどう転んだって表現し得ないような、深く雄大な音楽観を堪能させてくれる。しかも、「枯葉」ってもともとすっげーいい曲だしね。

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