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旅の達人に聞け!! 4 「旅行人」は「インド病」から生まれた 蔵前仁一さん(『旅行人』編集長)
『旅行人』という雑誌をご存知だろうか。旅をテーマにした雑誌は数あれど、こいつはチャラチャラしたガイド誌なんかじゃなく、硬派にして深みに富み、世界が、人間が、ページの間から体温や臭いをともなって立ち上がってくる。美しい写真、クォリティーの高い署名記事。『旅行人』は、日本の雑誌文化の中で正統の輝きを放つ素晴らしい雑誌だ。その創始者であり、ずっと編集長をつとめてきたのが蔵前仁一さんである。デザイナー&イラストレーターの仕事をしていた若き蔵前さんが、旅の虜となったキッカケは、ある病気にかかったことだという。その病名を『インド病』という。

プロフィール
1956年、鹿児島県生まれ。慶應義塾大学卒業。グラフィックデザイナー、イラストレーターとして活躍後、たまたま旅をしたインドに衝撃を受ける。以後、何度も訪れたインドを描いた『ゴーゴー・インド』を1986年に出版、バックパッカーたちの大きな支持を得る。1993年、雑誌『旅行人』を発刊、1995年には有限会社旅行人を設立、現在に至る。今もバックパッカー的な旅を大事にする旅行作家であるとともに、マルチな編集者として、多くの旅好きから信頼され、各方面で活躍。

●旅行人のWEBサイト
http://www.ryokojin.co.jp/

WHAT IS THE JOURNEY?

旅した国の数は50カ国以上、のべ6〜7年。まさに旅行人。

インド病を治すにはインドに行くしかない

20代の終わり頃、デザイナーとして、イラストレーターとして、睡眠時間3時間、来る日も来る日も仕事に忙殺された。時代はバブル初期。お金はたまったが、体と心はボロボロだった。ある日、10日だけ休んで旅に出ようと心に決めた。どこに行こうか。友人が何気なく言った。インドがいいんじゃない? 反対する理由はなかった。で、インドに旅だった。蔵前さんが言う。
「そうしたらインドでは、人にだまされるはで、もうひどい目に合うし、こんな国、二度とくるかと思って帰国したんです。ところが、毎晩のようにインドが夢に出てくる。ハッと思って目がさめると『あっ、日本だ』とホッとする。それだけじゃなく、なんで東京の電車賃は130円なんだとか、いちいちインドと比較してなぜか違和感を感じてしまうんです。とにかくインドのことが頭を離れなくて、ボーッとして仕事も手がつかないんですね」

今にして思えば、10日間では消化しきれなかった強烈なインド体験を、そうやって反芻していたのではないだろうかと蔵前さんは言う。
「見かねた友だちが僕にこう言ったんですよ。『おまえもインド病にかかったか。直す方法は一つしかない。もう一回インドに行くことだ』って」

そして再びインドに旅立つ。

病癒えて帰国したころには、今の仕事はもうやめようと決めていた。やがて、処女作『ゴーゴー・インド』を上梓する。増殖中だった日本のバックパッカーの若者の間で熱烈に読まれ、蔵前仁一の名は一躍有名となる。

出版社を設立したのは1995年、39歳の時。8年前に始めた、わずか12ページのコピーを綴じただけの雑誌『遊星通信』が、『旅行人』と名を改め、月刊誌として成功を収めつつあった。「会社を辞めて旅に出た」「女の一人旅」「素晴らしきインド映画」などの特集は完売した。本格的に出版に取り組む時期と蔵前さんは考えた。

1年のうちの半分近くを世界のどこかで過ごし(その多くはメジャーなメディアが取り上げない世界の辺境だ)、残りの日々を編集者として『旅行人』や書籍を出版するという生活が、そうやって始まった。

ごく普通の人々が暮らす田舎が好き

それにしても、いったい、何カ国を旅したのだろう?
「だいたい50カ国くらいですね。たいしたことないですよ。100カ国以上行ったという人はざらにいますよ。だから国の数でいえば少ないほうだと思います。なにしろ、フランスのパリだって、まだ行ったことないですから(笑)。そのうちにとは思うけど、フランスはいつでも行けるし、ルーブルはいつだってあるし。日数ですか? のべにしたら、この20年間のうち6〜7年は旅をしていたかもしれませんね。そのうち2年はインドです」

蔵前さんはインドの魅力の一つは多様性にあると言う。よく言われるインドの精神世界的なものには、意外と関心はない。蔵前さんを惹きつけるのは「何でもある楽しいインド」なのだ。
「インドに行くと、10カ国くらい旅行した気分になりますよ。一つの国と言えないほど地方によって言語も文化も異なるんです。ヒンドゥー教にしたって、地方によって違う。知れば知るほど面白い国です」

ベナレスなどの有名な観光地にはあまり行かないという。確かに、そこには視覚的にもむき出しのインドがある。でも、蔵前さんが好きなインドは田舎のインドだ。
「日本の田舎と一緒で、人なつっこく話しかけてきてくれるんです。おばあちゃんが『来い、来い』と手招きするから行くと、リンゴくれたり。そうそう、おばあちゃんっていえば、ルーマニアの田舎のおばあちゃんも同じで、ブルーベリーをたくさんくれたり、親切でね。イスラムの国もそうですね。ごく普通の気持ちのいい人々が普通に暮らしていて、外国人を普通に受け入れる。そういう田舎が好きなんです」

反対に強烈にネガティブな体験をしたのは、80年代の中国だったそうだ。全体主義的な空気がまだ残っていて、人々は横柄、乱暴で、労働意欲もなく、「心情左派だった僕の社会主義への幻想はこなごなに打ち砕かれました」という経験をするのである。
「インドとは正反対の意味でカルチャーショックを受けましたね」

旅行に行く体力だけは残しておきたい

さて、残念なお知らせをしなくてはならない。この記事を読んで『旅行人』という雑誌に大いに興味をいだいたあなただと思うが、実は現在年2回刊の『旅行人』は来年の12月を持って休刊する。6月と12月が発売月だから、あと3号ということになる。バックパック一つで海外へ旅立つ若者が少なくなってきたというのも理由の一つだろう。だが……。
「実は50歳まではと思いつつやってきたんですが、もう54歳になって、体力的にもきつくなってきた。正直に言えば、旅行には絶対行きたいから、旅行に行く体力を残しておきたくなってきたんです(笑)。それに、だいたい、やりつくしたし。だって、162号も出したんですから。だから余裕をもってやめたかったんですね。あとは余生です(笑)」

旅はいつも奥さんといっしょだ。
「妻もデザイナーなので、いっしょに『旅行人』をつくってきました。だから、妻とは昔からずーっといっしょに旅をしているんです。バスで10時間揺られても平気な人です(笑)。そうじゃないと、僕といっしょに旅には出られない」

もちろん、雑誌『旅行人』は休刊になっても、書籍は出し続けるというから、その点は一安心だ。蔵前さんのバックパッカー的な自由に支えられた独特の視点からの写真、散文がこれからも楽しめるわけだから。
「まだ南米に行ったことがないんで、行きたいとは思います。でも、『制覇しよう』という気持ちがないんで、行かなくたっていいんですよ。でも、そのうちに、なんかの偶然で行くかもしれない、インドに初めて行ったときががそうだったように」

当然、これから先の旅もいつも奥さんと二人いっしょである。

旅は続く。

まさに、旅行人である。

自宅のリビングルームでインタビューにこたえてくれた蔵前さん

自宅のリビングルームでインタビューにこたえてくれた蔵前さん

転機となった処女作『ゴーゴー・インド』(凱風社)

転機となった処女作『ゴーゴー・インド』(凱風社)

うしろの2冊が雑誌『旅行人』。前の書籍は蔵前さんの著書『シベリア鉄道9300キロ』。いずれも旅行人・刊

うしろの2冊が雑誌『旅行人』。前の書籍は蔵前さんの著書『シベリア鉄道9300キロ』。いずれも旅行人・刊

蔵前さんの自宅は旅先で手に入れた世界中のものでいっぱいだ

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これは大好きなインドで手に入れたもの

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この秋出かけたコーカサス地方への取材旅行でのワンカット

この秋出かけたコーカサス地方への取材旅行でのワンカット

HOW TO JOURNEY?

パスポートさえ持って行けばOK

「旅先のホテルでは原稿を書いたり、写真の整理をしたりと、とっても忙しいんです」と蔵前さん

「旅先のホテルでは原稿を書いたり、写真の整理をしたりと、とっても忙しいんです」と蔵前さん

旅のテクニックなんてないな、と蔵前さんは言う。
「パスポートさえ持って行けばOKだし(笑)。まあ、慣れているので、持っていく物はあっという間に揃えられはします。もちろん、スーツケースじゃなく、リュックです。重い荷物を持って行くにはリュックが便利です。風邪薬や、腰痛に悩まされているのでシップ薬は忘れないようにしますね。メインのカメラはソニーのαで、小さなコンパクトのものも持って行きます。取材で行きますので、原稿書き用にパソコンを持って行きます。パソコンは現地でインターネットにつないで、日本に原稿を送ったり、現地の情報を調べたりするのにも使います。USBスティックもたくさん持って行きますが、これは撮った写真を保存しておくためですね」

蔵前さんの旅は、すなわちこれ仕事とイコールである。「きょうあったことは、きょう整理する」のがモットーだそうで、ホテルではまじめに原稿書きに専念するのだそうだ。

WHERE TO GO?

行き先選びは自分の興味のありかを探すことから

団体旅行はやめる

忙しすぎてつかれるだけの団体旅行はやめたほうがいいというのが蔵前さんからのアドバイス。
「朝5時に起こされて、6時にはホテルを出て、帰ってくるのは夜の9時。いろんなところを観光しても、同じところには30分もいない。つかれるだけですね、団体旅行は。それよりも、奥さんと二人で、フラッと町に出て、のんびりブラブラする旅のほうがずっと楽しくて収穫が多いと思います」

趣味や関心にマッチした旅をする

「趣味でも仕事でも、自分が特にこだわっている何かを深めに行くという、目的のある旅にするといいと思います。釣りでも、絵画でも、農業でも、なんでもいいのですが、自分の知識を深めるという目的があれば、旅の深みは増すはずです」

ちなみに蔵前さんの奥さんは布が好きで、行った土地土地でその地独特の布を探す。
「妻がインドのとある辺鄙な地方で独特の絣を見つけたんです。こんなところにまで絣を探しにやって来る日本人は自分ひとりぐらいだろうと思っていたら、すでに別の日本女性が来ていたあとだったということがありました。日本人って、すごいですね(笑)」

万人が面白いと思うところなんてないとも蔵前さんは言う。だから、自分にとって何が興味の対象なのかを探ることから、旅の目的地選びは始めようというのが蔵前さんからのアドバイスだ。

奥さんが旅先で入手した布が、蔵前家のいたるところに飾られている

奥さんが旅先で入手した布が、蔵前家のいたるところに飾られている

蔵前家の広い書庫は、旅の書ばかりでなく、ありとあらゆるジャンルの書物でいっぱいだ

蔵前家の広い書庫は、旅の書ばかりでなく、ありとあらゆるジャンルの書物でいっぱいだ

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